ヴェールにくちづけ

俳優やら舞台やらそのあたりの感想やら妄想やら

紫陽花の咲くころに

ちゃんとブログ書こうと思って年を越したのに、これが2018年二本目の投稿なのは何なんだ?と自分で思った。あとちゃんと順序立てて理路整然としたブログを書くようにしようと思ったけど、ミラクルリリカルアホちゃんの私にはそれは無理なんだと思った。今後少しずつ直す努力をします。

 

年始から相も変わらず現場通いの日々だけど、今月はジョーカーゲームIIを観た。一年越しのジョカゲ。よかった。推しが世界一すきだと思った。

感想書く前に一つだけ言わせて欲しいんだけど、キャストの後出しホント勘弁してくれませんかね?せめて潤沢に先行ある段階で言って。頑張るもんも頑張れないデショ。まあ今回に関しては完全に私の"負け"だ。推しが出ることくらい読めてないといけなかった。読み負けだ。悔しい。

 

まあ、そんなことは良しとして、今回も私はとても好きだったな。三好死なないし。

私はキモオタなので、実は実力のある人間が正体を隠して戦っていて、ナメてかかってきた敵を華麗に一掃するみたいなのが大好きなんだけど、ジョーカーゲームってめちゃくちゃそういうところあるじゃないですか。いいよね〜。(いいよね〜。)

今回は、流石に原作を読んでないとなかなかに理解が難しかったように思う。そもそもあんましそれぞれのキャラに特徴のないーーあったらスパイが務まらないーー作品なので、初見でいろいろ観ていくのは結構しんどい気がする。少なくとも私は、律儀に原作を読んでおいてよかったと思った。ただ、展開を知っていてもなお、オリジナル要素と舞台演出で観客を欺き驚かせることができる西田大輔は、やっぱり天才だなと思う。原作ファンからの評判もおおむね「大好評」なのがすごい。オリジナル要素は時として、というか、保守的なオタク界隈ではかなり敬遠されるが、今回の演出とストーリー構成に文句を言っている人をあんまり見ていない。原作未読はキツくない?と言っている人は多いけど、西田大輔の舞台とは往々にしてそんなもんである。私自身も、個人的にすごくよかったと思っている。

今回はダブル・ジョーカーとワルキューレ、二つのストーリーを絡めて展開したわけだが、私はVS風機関が大好きなので、邑弥の実井で見られたのがとても嬉しかった。

原作読んだときにも、途中まで物語の主軸にいてD機関を脅かしている「つもり」だった風戸が、結城中佐の完璧な仕事に打ち負かされるところがめちゃくちゃ最高と思っていたのだが、舞台オリジナル要素が加わることでさらに最高になっていた。

D機関のかっこいいところって、彼らにとっていたって「通常」通り任務をこなしているだけで、他の諜報機関や軍事組織を圧倒的に凌駕しているところじゃないですか。魔術師と呼ばれた結城中佐を真ん中に据えて、誰も誰かのため、何かのためには動かないところが好きだ。彼らは任務の達成による自己陶酔を報酬として生きるプライドの塊なのだけど、そういう自分さえも客観視した上で闘っているのがいいのだ。

今回の主演・実井は「森島邦雄」として白幡邸に潜入していたわけだけど、気弱そうな書生だった森島が蒲生に牙を剥くところがかっこよすぎなんですよね〜〜〜〜。実井めちゃくちゃ足が長い。

邑弥は体のキレもいいし、その上お芝居も上手いので非常に観やすい。いたずらっぽい笑顔が、実に原作通りのちょっとした美形感があって良かった。

そしてそれに対峙する蒲生も、流石の芝居のうまさ。軍人らしさを残しながら、他の頭の回らない馬鹿とは違うのだ、という自信に満ち満ちた目が好戦的でかっこよかった。

そして、そういう「愚かなエリート」像を作り上げて、「風機関の蒲生」の下に「D機関の蒲生」を忍ばせるすごさたるや、めちゃくちゃよかったと思う。

原作では、グラハム邸の一件と白幡邸の一件は別案件だ。だからグラハム邸に潜入していた蒲生は初めからD機関の人間だとわかっていたし、二重スパイでもなかった。これは本当に西田演出好きだなと思ったところなのだが、こうして原作の展開を知っている人間でも、二つのストーリーを絡めることによって「知らない」展開が出てくるわけだし、舞台が初見の人間にとっては蒲生の存在が最後のどんでん返しで驚かせてくる。知ってても知らなくても、舞台オリジナル要素によって話がぐっとまとまったし面白くなってたと思う。まあ実井と蒲生は同じ作戦の中で動いてるなら戦う必要なかったデショと言われたら大暴れすることしかできないのだが、大人の事情があるんだから許してほしい。

めっちゃ最高なのは、蒲生について最後まで詳しくは語られることがなく、本当のラストシーンでD機関の面々が報告のため結城中佐のもとに集まっている場面に、当たり前のように蒲生が入ってくるところなのだ。それまでの高圧的でプライドの高い喋り方から一転、スパイらしいと言っていいのかわからないけど、冷静で何もかもを俯瞰してみせるような声でD機関に舞い戻る蒲生は、正直めちゃくちゃのめちゃにかっこよかった。

 

あとは、宮下雄也があまりに面白くて死にそうになった。私はオラさんも好きなのだけれど、宮下雄也は圧倒的にほかの面白俳優と比べて芝居が上手い。だからこそ、好きにアドリブシーンをやらせていても一気に次のシーンに転換させることができている。サインのくだりがめちゃ好きだった。なんなんだよデンターシステマって。

 

雪村の存在感もすごかった。わたしが観たのは田崎と神永の回だったんだけど、役入れ替えであそこまでそれぞれ芝居するのあまりにすごくないですか!?!?誰が演じても一定のクオリティが保たれていて、それでいてそれぞれの俳優の個性が出ててびっくりした。ドイツでのストーリー展開の大部分を担っていたから大変だったと思うけど、完成度高いシーンだった。

松本岳も、お芝居上手くなった。私波多野のビジュアルすごく好きなんですけど、原作で柳先生がよく言う「色白の肌、紅をさしたような唇」ってめちゃくちゃまつがくのかんばせに似合う形容だと思っていて。色が白いから波多野の明るい髪色もよく似合っているし、パッと明るい紅の唇も舞台に映えていてとっても綺麗だった。

今回の波多野はパラダイス・ロストの中の「誤算」という短編の世界線の波多野だった。記憶を失った波多野が、レジスタンスの彼らに介抱されながらドイツ軍の追撃に抵抗しようとするシーンがあるが、短い時間にたくさんのセリフを詰め込まなきゃいけない場面でめちゃくちゃ丁寧に回せてたの、とてもよかったと思う。まつがくが、一見飄々としているように見えて、プライドがド高い波多野を体現したような目をするのがカッコよい。柳先生の書くお話は、短いのに描きたい「スパイ像」が引くほど鮮やかに書き連ねられていてスッゲーなと思うのだけど、西田大輔はそれを舞台に落とし込むのがうますぎてやっぱりスッゲーなと思った。

何にせよ、ヤッキーすごく大人になりました。これからももっともっと活躍してほしい。

 

あとまあ、する?推しの話。世界一かっこいいんですけど。

次にスタミュも控えてるし、稽古期間もそんなに長くなかったので、何より私は推しの舞台はいつも推しが主演だと思ってるけど、今回三好は主演ではないので、前よりはだいぶ出番も殺陣も減っていてちょっとだけ安心した。彼には前科があるからだ。

 

‪メッキの言葉を並べ立てて - ヴェールにくちづけ http://ssnn7.hatenadiary.com/entry/2017/05/07/014004

去年のブログを読み返したら引くほどキモかった。

 

まあそれは置いておいて、主演だった前回よりははるかに出番は減ったんだけど、三好というスパイマスターとしてのキャラクターも相まって、推しは今回も鮮烈な存在だった。

彼の演じる三好は、一つとして同じキャラクターではない。初演の憲兵とも、「柩」で死んだ槇とも、全く違う明るさの中に冷酷さを隠した顔を簡単に演じ分けるさまがかっこよかった。俳優として誰より優れてるくせに、誰より努力するから推しはずるい。そう、推しはいつだって、自慢の推しだ。キモくてごめんな。

三好は今回、スパイ「でない」ときがあんましないので、そのほとんどが潜入のために演じている役柄を演じる役がらでの登場である。三好ではない彼が、三好としての任務を鮮やかにこなしていく姿が良い。やること全てが誰かの「先」をいく、生きてさえいればかつての「魔術師」にもなり得た存在。それをさらりとやってのけているように演じることができる勝吾くんはやっぱりすごい。

数少ない殺陣のシーンもよかった。刀の似合う推しなので、体術や銃での殺陣はいまだに新鮮だ。でもどのときにも言えるのは、推しは殺陣をやってるとき、本当に敵を制圧する人間の目をしている。芝居だとはもはや思えない目つきで、相手役を見つめる姿に、いつもゾッとする。ああいう場面で、推しはもはや芝居をしていないのかもと思う。彼が三好であり、三好が彼なのだ。つくづくすごい役者だ。推しサイコ〜〜。

キレのある体捌き、優雅な仕草、美しく女を騙す声、綺麗な顔。前作よりさらに完成度が上がっていたように思う。タバコを吸うときの指も蠱惑的だった。三好役は、他の誰でもなくずっと勝吾くんにやってほしいな。

 

前作観劇の際も感じたが、ジョーカーゲームは私の肌にひどく合っている作品なのだと思う。まだまだ大阪公演も残っているので、ぜひキャスト、スタッフ、その他関係者の皆様が無事に千秋楽を迎えられるよう心から祈っている。

次は待ちに待ったスタミュだ〜〜!!!!!!!!!!!!!!!!!大暴れするぞ。(しないぞ)